自賠責保険と任意保険は『役割が全く違う2つの保険』
交通事故の補償を理解するうえで最も重要なのが、自賠責保険と任意保険の役割の違いです。自賠責は法律で加入が義務付けられた最低限の被害者救済制度、任意保険はそれを補完して十分な補償を実現する民間保険です。本記事では、両者の違いと請求方法を弁護士監修で詳しく解説します。
基本的な違い
- 加入義務:自賠責は法律で義務 / 任意保険は任意
- 補償対象:自賠責は対人のみ / 任意保険は対人+対物+自分の補償
- 上限額:自賠責は限度額あり(傷害120万円)/ 任意保険は無制限プランが一般的
- 未加入の罰則:自賠責は罰金最大50万円・免停 / 任意保険は罰則なし
自賠責保険の補償内容
傷害部分(上限120万円)
治療費・入通院慰謝料(1日4,300円)・休業損害(1日5,700円〜上限19,000円)・通院交通費を含めて、最大120万円まで補償されます。120万円を超える分は任意保険または被害者自身の保険でカバーします。
後遺障害部分(等級により上限あり)
後遺障害等級1級なら最大4,000万円、14級なら75万円が上限。被害者請求方式で申請すれば、症状固定後に等級認定+慰謝料+逸失利益が一括で支払われます。
死亡部分(上限3,000万円)
死亡慰謝料+逸失利益+葬儀費用を含めて最大3,000万円。実損が3,000万円を超える場合は任意保険または相手の人身傷害保険で補填します。
任意保険の補償内容
- 対人賠償保険:相手のケガ・死亡(自賠責の上限超過分)
- 対物賠償保険:相手の車・建物などの物的損害
- 人身傷害保険:自分のケガ(過失問わず実損補償)
- 搭乗者傷害保険:自分の車に乗っていた人の傷害
- 車両保険:自分の車の修理費・盗難
- 弁護士費用特約:弁護士依頼費用(上限300万円)
- 無保険車傷害特約:相手が無保険時の補償
⚠ 自賠責だけだと対物事故は完全に自己負担になります。電柱を倒した、ガードレールを壊した等の物損も任意保険なしではすべて自費。任意保険は実質必須です。
被害者が請求するときの順序
被害者が事故後に請求するときは、原則として 加害者の任意保険会社が窓口 になり、自賠責部分を含めた『一括対応』で支払われます。任意保険会社が一括対応を拒否した場合、被害者自ら自賠責に直接『被害者請求』をすることも可能です。
知っておきたい『一括対応』の落とし穴
任意保険会社の一括対応は便利ですが、示談時に提示される金額は任意保険基準(自賠責とほぼ同等の低水準)で算定されています。弁護士基準で計算するとさらに数十万〜数百万円増額する可能性があるため、示談前に弁護士相談を強くおすすめします。
自賠責だけで足りないときはどうなりますか?
加害者の任意保険から不足分が支払われます。任意保険に未加入の加害者の場合は、自分の人身傷害保険・無保険車傷害特約からの支払い、または加害者本人への直接請求になります。
自賠責は被害者だけでなく加害者も請求できますか?
原則は被害者を救済する保険なので、加害者の請求は被害者過失7割未満の場合に限定されます。加害者自身のケガには、自分の人身傷害保険・搭乗者傷害保険を使います。
任意保険未加入率はどれくらいですか?
約25%(自賠責は強制加入のため100%)です。25%は意外と高く、4台に1台は任意保険未加入ということ。被害者側の自衛策として、自分の任意保険に『無保険車傷害特約』を必ず付帯しておきましょう。




