交通事故の慰謝料は『3つの基準』で金額が大きく変わる
交通事故で被害者が受け取れる慰謝料には、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。そして、それぞれを算定する基準が3つあり、どの基準で計算するかによって最終的な金額は2〜3倍、場合によっては10倍以上変わることも珍しくありません。本記事では、3つの基準の違いと、適正な慰謝料を受け取るためのポイントを弁護士監修で解説します。
3つの算定基準とその違い
① 自賠責基準(最も低い)
自賠責保険が定める法律上の最低限の補償基準です。入通院慰謝料は『4,300円 × 対象日数』で計算され、対象日数は『実通院日数 × 2』と『総治療期間』を比較して少ない方が採用されます。たとえば総治療期間90日のうち30日通院した場合は min(60, 90) = 60日 となり、慰謝料は25万8千円です。
② 任意保険基準(中程度)
各保険会社が社内で定める基準です。自賠責基準よりやや高い水準ですが、社外には公表されていないため、保険会社が提示する金額が任意保険基準なのか、それより低い金額なのかを被害者個人で見分けるのは非常に困難です。
③ 弁護士基準(最も高い)
日弁連交通事故相談センター発行の『損害賠償額算定基準』(赤い本・青本)に基づく基準で、過去の裁判例を集積したものです。3つの基準の中で最も高額になり、通院1か月で約28万円、入院1か月で約53万円が目安です。重い後遺障害が残るケースでは、自賠責基準と弁護士基準の差が1,000万円を超えることもあります。
⚠ 保険会社が最初に提示してくる金額は、ほぼ例外なく自賠責基準または任意保険基準です。提示された金額をそのまま受け入れる前に、弁護士基準でいくらになるかを必ず確認しましょう。
通院期間別の慰謝料目安(弁護士基準)
- 通院1か月:約28万円
- 通院3か月:約73万円
- 通院6か月:約116万円
- 通院12か月:約154万円
- 後遺障害14級:約110万円(別途)
- 後遺障害12級:約290万円(別途)
慰謝料を増額するための4つのポイント
1. 適切な通院頻度を保つ
月10日以上の通院ペースを維持すると、慰謝料算定上で有利になります。逆に通院間隔が空きすぎると『症状が軽い』『治療の必要性が低い』と判断され、減額の対象になる可能性があります。
2. 整形外科を月1回以上受診
整骨院だけの通院では医師の診断書が得られず、後遺障害等級認定で不利になります。整形外科で定期的にレントゲン・MRIなどの画像検査を受け、症状の経過を医学的に記録してもらうことが、後の交渉で重要な証拠になります。
3. 後遺症状が残ったら等級認定を申請する
治療しても痛みやしびれが残った場合、症状固定後に後遺障害等級認定を申請します。等級が認定されると、入通院慰謝料に加えて『後遺障害慰謝料』と『逸失利益』が追加で請求できるため、総額が大きく変わります。
4. 弁護士に相談する
弁護士基準で示談交渉ができるのは弁護士のみです。多くの自動車保険には『弁護士費用特約』が付帯しており、上限300万円まで保険から支払われるため、自己負担0円で弁護士に依頼できるケースがほとんどです。
慰謝料はいつ受け取れますか?
一般的には示談成立後、約2週間〜1か月で振り込まれます。治療がすべて完了し、すべての損害額が確定してからの示談となるため、事故から半年〜1年以上かかるケースも珍しくありません。
通院日数が少ないと慰謝料も少なくなりますか?
はい。自賠責基準では『実通院日数の2倍』が計算式に使われるため、通院が少ないと算定日数も短くなります。ただし、痛みがないのに無理に通院する必要はなく、医師の指示に沿った通院が原則です。
弁護士費用は誰が払いますか?
自動車保険の『弁護士費用特約』が付帯していれば、上限300万円まで保険から支払われ自己負担0円のケースがほとんどです。特約がない場合も成功報酬制(回収額の10〜20%程度)が一般的で、増額分を上回ることはまずありません。




